学生・卒業生の声

Students’ & Alumni’ voices

コンピュータの性能を活用し、気液二相流の超高解像度・大規模計算の実現に挑戦

松下 真太郎

Shintaro Matsushita

趣味:今はオンラインゲームが一番の趣味です。つい時間を忘れて熱中してしまいます。

博士課程へ進んだ動機

10歳の頃、将来、学者になることを漠然と夢見ていた私にとって、博士課程への進学は、とても自然な流れだったと思います。とはいえ、高専の専攻科時代にはプログラミングの楽しさを知り、ゲーム開発に携わろうと考えたこともありました。しかし、研究職や開発職への思いは強く、自分は一人でじっくりと忍耐強く進められる研究の方が向いていると感じたので、修士課程で東京工業大学に入学する時点ですでに博士課程を視野に入れていました。
研究分野については、プログラミングが好きで、物理的な現象を解明するおもしろさも味わえることから、数値流体力学を選びました。進化・発展するコンピュータのパワーが感じられ、物理現象も理解できるのは、とても興味深く、おもしろいことです。
松下 真太郎 博士課程へ進んだ動機

博士課程へ進むために準備したこと

博士課程になると論文を書く機会も増えると考え、研究成果を論文にできるクオリティで保存・整理するように心がけていました。同時に自分が開発した計算手法を後輩が研究で使っていくことが予想されたので、計算コードをわかりやすく書き直すことも行っていました。
また、博士課程進学にあたっては、経済的な準備も重要です。東京工業大学にはRAやTAなどの制度があり、それと奨学金で生活していけるよう計画を立てました。私は研究室でRAをさせていただいていますが、研究室にいる時間を確保でき、しかも自分の研究に関係ある内容なので負担もそれほど重くありません。RAの制度は研究の視野を広げるとともに、経済的にもとても助かっています。

現在研究しているテーマについて

数値流体力学とは、コンピュータを使って液体の運動を計算する学問分野です。昨今、コンピュータの性能は大幅に向上し、航空機や様々な工学製品の設計に関するシミュレーションに活用され、実際に実験よりも信頼性が高いといわれるものもあります。ところが、私が取り組んでいる気液二相流については、解像度も手法もまだ信頼に足る精度に達しておらず、実験とシミュレーションに乖離があります。
そこで、気液二相流のうち、気体と液体の界面が複雑に動くケースを対象に超高解像度・大規模計算実現のための計算手法を開発しようというのが私の研究テーマです。気液二相流の計算では、格子で区切って式を解いていきますが、格子の数を増やすと、正確性が増す反面、計算の負荷が増します。しかも、格子を2倍にすると、計算時間は2倍以上に増えてしまいます。つまり、複雑形状の流れや激しい流動を含む問題を高解像で解こうとした場合、計算時間の増加や、たくさんの台数のGPUを使っても性能が出にくいなどの問題があります。さらに、圧力に関する繰り返し計算をしなければならず、そこがボトルネックになっていました。
これを解決するため、私が行っているのは、必要なところに細かい格子を集める適合細分化格子法(AMR:Adaptive Mesh Refinement)法の適用です。現在、精度安定性を確保しながら、着実に解像度を上げられるようになってきています。
松下 真太郎 現在研究しているテーマについて

研究のおもしろさを感じるとき

研究の一番の醍醐味は、まだ誰もやっていないことに挑戦できることです。その結果、工学的に役立つ情報が得られれば、社会に貢献できたという喜びを感じることができます。
研究は基本的にうまくいかないことの方が多いもの。それでも、地道に努力を続け、成果が出れば、きちんと評価され、それが次へ進むモチベーションになります。
修士課程に入学した当初、私はなかなか成果が出なくて、非常に苦しい思いをし、「博士課程に進んでも大丈夫だろうか」と不安にもなりました。しかし、その後、方向性を少し変えてみたところ、一気に研究が進み、最終的には専攻の修士論文発表会で最優秀論文賞をいただくことができました。それによって「自分はまだ研究を続けてもいいんだ」と自信がつきました。

将来のビジョンについて

海外では博士号を持っているエンジニアがスタンダードになっていて、国内の企業でも、最近は博士課程修了者を採用するところが少しずつ増えてきています。こうした状況については博士課程のキャリア教育の授業で知ったのですが、従来以上に、博士課程修了後の道は開けているように思います。とはいえ、私自身は、幼い頃の夢の通り、アカデミアとして研究を続けていくことが希望です。具体的には大学の研究室にポスドクとして残るか、民間企業や国立の研究所で研究を続けていきたいと思っています。
一方、研究面では、相変化を含む流れなど、より複雑な流れ計算をやっていきたいと考えています。そうして、現在、スパコンでしかできない計算が、将来民間のワークステーションの規模でできるようになり、今開発している手法が活用されればうれしいですね。

これから博士を目指す学生へのメッセージ

博士課程で学ぶ3年間は、人生で最も研究のみに没頭できる期間だと思います。特に東京工業大学は研究設備もすばらしく、優秀な留学生や先輩方と議論をしながら研究を進めることができるなど、研究環境にとても恵まれています。また、海外での発表機会も多く、最新の研究成果を見聞きして新しい挑戦をしていけるのは、非常に刺激的です。
もちろん博士課程の3年間は決して楽なものではありませんが、その分、得られるものも大きいはずです。研究を楽しいと思える方はぜひ進学を検討してほしいと思います。
松下 真太郎 これから博士を目指す学生へのメッセージ

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