学生・卒業生の声

Students’ & Alumni’ voices

関節の隙間の解析モデルを開発し、産業用ロボットの性能向上に生かす

大野 真澄

Masumi Ohno

趣味:自分で設計した立体パズルを3Dプリンタで作ってます。友人に解いてもらうのが楽しいです。

博士課程へ進んだ動機

博士課程への進学を決めたのは、修士課程2年目が始まってまもなくの4 月になってからでした。私は、この2・3 か月前から少しずつ就職活動を始めていました。しかし、研究室で指導教員の先生の研究に対する姿勢を見たとき、このまま就職するのではなく、さらに3年間、ここで研究を続ける方が自分にとって大きなプラスになると思い、博士課程に進学することに決めました。
博士課程では、学術面をしっかり追究できます。私の場合、そうした環境で一人前の研究者になるための方法論をしっかりと学べることが進学決定の一番のポイントになりました。
大野 真澄 博士課程へ進んだ動機

博士課程へ進むために準備したこと

私の同期の学生の中には、早くから博士課程への進学を志していた学生もいましたが、私はかなりギリギリでの決断でした。
進学を決めてまず行ったのは、国内で代表的な研究奨励金の支給制度である日本学術振興会の特別研究員制度への申請です。締め切りが1 か月後に迫る中、指導教員の先生と相談し、申請書を書き始めました。申請書の作成にかける準備が十分でなく、当時の研究業績も少なかったため、残念ながら特別研究員には採用されませんでした。
しかし、東京工業大学では大学で学ぶにあたって、いろいろな学生支援策が用意されています。私は学部の2 年次から民間の奨学金の給付を受けています。博士課程進学後は、RA(リサーチアシスタント)という大学の制度も利用させていただけるようになり、あまり経済面を心配せずにしっかりと研究に打ち込むことができています。

現在研究しているテーマについて

研究室ではロボット機構学とその要素・制御手法の開発や、それを応用した人体の運動特性解析および福祉機械の開発などについて研究を行っています。その中で私は産業用ロボットを研究対象とし、制御・機構設計を組み合わせて、より精度の良い運動制御の実現を目指して研究を進めています。
実際のロボットでは、教科書に書かれている挙動とは異なる部分がたくさんあります。例えばロボットに複数存在する関節は軸周りに単純な回転をしているわけではありません。ロボットの連続稼働による摩耗や製造時の精度等に起因して関節に隙間が生じることが一因です。また、部材が弾性変形して振動することもあります。これらの挙動はロボットの運動に悪い影響を与えることがあるため、この悪い影響を分析し取り除く工夫が必要です。私は関節の隙間に焦点を当て、その大きさが分かればこれに貢献することが可能だと考え、隙間の大きさを検出するシステムの開発に取り組んでいます。教科書に書かれている基本的なモデルを発展させ、より実際に即したモデルの構築が必要となります。試行錯誤しながら、より良いモデルを検討することが、私の研究の難しいところでもあり、工夫のしがいがあるところでもあります。
研究では、まず簡単な実験を行って、実際のロボットにどのような変化が起きているのか、現象について基礎的な部分を調べます。そのうえで、なぜそうした現象が起きるのか、仮説を立てモデルを構築します。そして、数値計算や再度の詳細な実験を行い、仮説を検証します。現在は実存の産業用ロボットを用いて得られる測定値を使って、隙間の検出に重点を置いて研究を行っています。研究計画を立てたり、研究をまとめるときには、問題をより広く抽象化し、できるだけ応用の幅が広がるように考えることが重要だと思います。
大野 真澄 現在研究しているテーマについて

海外の大学との共同研究について

修士課程までは自分の研究を進めることが中心になりますが、博士課程では研究の交流も重要です。その点で、東京工業大学は海外の大学との共同研究が盛んで、研究者同士の交流も盛んに行われています。私もドイツのアーヘン工科大学との共同研究プログロジェクトに関わっていて、先方の大学の同世代の博士課程学生や教授の先生と密な議論を行なって研究を遂行しています。海外の大学に目を向けると、自分の研究分野にかなり近い、研究交流は自分の視野を広げるうえで不可欠で、そうした環境で学べることに感謝しています。
大野 真澄 海外の大学との共同研究について

将来のビジョンについて

いろいろと考えながらも、博士課程修了後の進路については、まだ答えが出ていません。しかし、博士課程は研究の方法を学ぶための場だと思っていますから、大学などの学術分野だけに限定せず、いろいろな選択肢を検討して、自分が社会貢献をできる場を探していけたらと考えています。

これから博士を目指す学生へのメッセージ

大学院は専門知識を学ぶためだけの場ではありません。社会で何が起きているかを知り、自ら課題を設定し、それに対する解決策を提案し、検証するという一連の流れを学ぶことにこそ、大学院で学ぶ意義があると思います。こうして身に付けた研究の方法論や研究への姿勢は、専門領域を変えたときにも必ず生きてくるものと信じています。
博士課程では、より研究を楽しむことができる環境があると考えています。自身の研究への責任も増え、主体性を持って行うことが重要となります。これまで蓄えてきた知識を生かして、自分の学問分野に貢献したい。博士課程を志して、そのような気持ちがさらに強くなってきていると思います。
大野 真澄 これから博士を目指す学生へのメッセージ

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